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激しくしないでっ!
第7章 エピローグ

「涼川さん」

「裕美、でしょ?」


 いつもの癖でつい名字で呼んでしまった俺に対して、光の速さでそう訂正が入った。

 誰にって、もちろん涼川裕美さんご本人から。


「裕美…………ちゃん」

「呼び捨てでいいのに」

「女の子を名前で呼び捨てとか、したことないんだよ! いいだろ別にちゃんつけたって」

 いちいち細かいなぁもう。俺はムキになって、ふいっと顔を背けてみせた。

 ……まあなんていうか、照れ隠しってやつだ。

 今、俺は彼女の部屋にいる。

 あの日から、一応付き合えてるらしい。そういえば俺、彼女にちゃんと返事もらってないぞ。まあ――キスが彼女なりの返事だったのかもしれないけど。

 もうすぐ期末テストがあるから、一緒に勉強するために、彼女の部屋に来ているのだけど……。

「で? なあに?」

「視線が……痛いんですけど」


 彼女の……裕美ちゃんの視線はさっきから、シャーペンを握る俺の右手首にずっと注がれていた。

 というよりもうガン見状態。何か美しい景色でも眺めているみたいに、うっとりと見つめ続けている。
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