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タワマン〜墜ちた女達〜
第25章 狩野の日常④
マンションに入ると、入れ替るように一人の女性がマンションから出て行こうとしていた。

以前もすれ違った美夜のところに来ていると思われるゆるふわパーマの女性だ。すれ違う時に軽く会釈をしてエレベーターに向かおうとした狩野に声がかかる。

「あの…、もしかして…狩野さんですか…?」

「えっ…?あっ…、はい…。」

狩野は名前を呼ばれ、驚いて振り返る。すれ違った女性が、狩野のほうを見て、首をかしげている。狩野は仕事柄、人の顔や名前を覚えるのは得意なほうだが、その女性に見覚えはない。

「すみません…。どこかでお会いしましたか…?」

「ふふっ…。やっぱり狩野さんでしたか…。覚えていらっしゃらなくて当然です…。私は佐藤恵美です。最後にお会いしたのは、もう5年近くになりますから…。以前、サイ・コミュニケーションで働いていた時に電報堂さんと一緒に仕事をしたことがありまして…。」

「サイ・コミュニケーションの佐藤さん…?えっ…?あの佐藤さん…?」

狩野は完全に戸惑っていた。確かにサイ・コミュニケーションと仕事した覚えがある。大きなプロジェクトで1年近く一緒に仕事をしたのだ。その時に佐藤という名前の女性がいたのも覚えている。
しかし、狩野の記憶の佐藤と、目の前にいる佐藤は全く結びつかなかった。互いに新人でそれなりに仲良くしていたが、その時の佐藤はショートカットで化粧気もなく、男まさりの女性だったはず。今の目の前にいる女性は、ゆるふわパーマで、きちんと化粧もして、女性らしさ満更の美人である。

「ずいぶん変わったでしょ?昔会った方は全員、わからないくらいですから、狩野さんがわからなくても気にしないですよ?」

「いやいや、それでも…。申し訳ない…。いや、びっくりした…。この前すれ違った時と、今日2回目だけど、本当にわからなかった…。人の顔を覚えるのは自信あったのに…。」

「ふふっ…。それだけ私が変わったので…。狩野さん、ここにお住まいで…?」

「ああ、今は電報堂も辞めてね…。自営業みたいなことしてるよ…。」

「羨ましいなぁ…。あっ!狩野さん、この後ってお暇ですか?せっかくなので、一緒に飲みません?」

「ああ、いいよ…。近くにバーがあるから、そこでなら。歩いてすぐだから。」

思わぬ誘いであったが、狩野はすぐに了承する。美夜のことを探るにもちょうど良かった。
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