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第6章 ナンパ

「中にだすてまったのね」

ハアハアと荒い呼吸を整えながら
登紀子は淳一に失望したように言った。

「ごめん…だって我慢出来なかったんだ…」

「別にいばって…ピル飲んじゅすさ」

だったら中だししてもいいじゃないかと
少しだけ淳一が膨れっ面をした。

「勘違いすねでね
なともっと親密になってがら
膣で受げ止めだがったの」

体を一つに重ねる事が最大の親密だろう？

淳一と登紀子の意見は
どこまでいっても平行線のままだった。

「痴話喧嘩は他所でやっておぐれよ」

一人の老人が温泉に足を浸けながら
登紀子と淳一を詰った。

「えっ？！」

淳一と登紀子は驚いて老人の方を見た。

「あの…
いつからそこにいらっしゃったんですか？」

「逝ぐ、逝ぐってあえいでらどぎがらいださ」

何だって？
じゃあ、セックスしているのを
まともに見られていた訳だ！

夢中で腰を振っていて
老人が温泉に入ってきたことさえ気づかなかった。

「ご、ごめんなさい！！」

淳一と登紀子は慌てて温泉から出た。


着衣をして脱衣所を出ると
しばらくして登紀子も脱衣所から出てきた。

「おじいさんに見られちゃったね…」

「うん…」

顔を見合わせて
二人同時に吹き出してしまった。

「やべえ！見られちまったよ～！」

「もうめぐせぐでこごさは来ぃねわね」

帰りの電車の中でも
二人して笑い転げた。

ハプニングだったけれども
お陰で中だしをしたことを
登紀子は許してくれたようだった。