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放課後のマドンナ
第7章 ロストバージン
週末の休みが明けて
登校してみると
クラスは蜂の巣をつついたような大騒ぎだった。
「何かあった?」
淳一は隣の席の岡 小百合に何事かと尋ねた。
「保坂せんせ、退職するらすいわ」
小百合も動揺しているのか
淳一に対して標準語ではなく方言でそう言った。
「退職?」
なんで?どうして?
淳一は小百合に矢継ぎ早に問いただした。
「詳すいごどはわがねばって…
どうやらせんせ…不倫すちゃーみだいなの」
「不倫?!」
「すっ!声がでっけすぎるじゃ
こぃはあぐまでも噂よ」
まさか恭子に限って不倫なんて…
僕というパートナーがいながら
他の男に抱かれていたというのか?
淳一は生まれて初めて体が震えるほどの衝撃を得た
始業時間になると
教室に校長先生がやってきた。
「えー、皆さんも薄々おべでらがど思いますが
保坂せんせは訳あって
教員辞められるごどになった」
「なすてだが?」
クラスの一人一人が理由を知りたいと
校長先生に詰め寄った。
「校長先生、保坂先生の不倫が
原因というのは本当ですか?」
クラスの誰もがそれを信じたくないとばかりに
校長先生に詰め寄りながらも「不倫」の言葉を
禁句のようにしていたので
淳一が代弁するかのように尋ねた。
「そったごどは君だぢがおべねでもい」
担任を失うことは
生徒たちにとっては大きな損失なのに
肝心な辞めた理由を教えようとしなかった。