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放課後のマドンナ
第10章 結ばれる二人

淳一が部屋に引きこもるようになってから
すでに三ヶ月が経とうとしていた。

こうなるとノコノコと家族の前に姿を現すことが
気恥ずかしくて
当初の恭子との失恋で
塞ぎこんで引きこもったという事よりも
なんだか意地になってきているという具合だった。

ただ、食事は美佐恵が部屋の前に置いてくれるので
こっそりとドアを開けてそれを食べ
空の食器を再びこっそりと
ドアの前に出していたので断食からは脱していた。

お風呂も両親が寝静まった夜中に
こっそりとシャワーを浴びているらしく
美佐恵が気づいたときには着替えた下着が
脱衣かごの中に入っていた。

引きこもりも一週間で
正昭が父の威厳を取り戻そうとするごとく
ドアをぶち破ろうとハンマーなどを用意したが
「この家は借家なのよ!
傷つけたら大屋さんに叱られるわ!」と
美佐恵に猛反対を食らったので
引きずり出してやるという正昭の目論みは
木っ端微塵にぶっ飛んだ。

「長い人生、一年や二年ぐらい引きこもったって
大した回り道じゃないわよ」

美佐恵は食事を摂らないことが心配だっただけで
部屋から出てこないにしても
ちゃんと食べているのだからと
深刻には考えないようにしていた。



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