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放課後のマドンナ
第5章 恭子の色香

ダラダラと時間ばかりが経過していた。

定例の職員会議なのだろうけど
風紀の乱れもなく
虐めというものに無縁な学校なのだから
これといった議題もなく
各教室の近況報告ばかりで
いたずらに時間だけを費やしていた。

『疲れた…早く帰ろう…』

この会議さえなければ
短時間でも淳一をドライブに誘って
あわよくば車の中でセックスをするつもりだった。

淳一の童貞を奪ったからか
恭子の頭の中は淳一で埋め尽くされていた。

そんな淳一への思いを巡らせる恭子の思考を
ベテラン教諭の江坂が声をかけてきたので
絶ち切らねばならなかった。

「保坂先生、今夜、この後のご予定は?」

職員室のドアの前に立ち塞がった江坂は
背も高く体格もいいので
まるで壁に塞がれた感じがした。

「いえ…特に何もありませんけど…」

失礼します。

江坂が立ち塞がるドアの、
ほんの隙間を恭子はすり抜けようとした。

「何も用事がないんでしたら…
飯でもどうですか?奢りますよ」

「いえ、結構です
早く帰宅して休みたいので…」

もう一度、江坂に向かって「失礼します」と言って
なんとかすり抜けた。

廊下を急いで歩く恭子の後ろを
江坂は執拗に追いかけてくる。

「じゃあ…せめてお茶だけでもどうですか?」

廊下を走り去りたい気分だったが、
日頃から生徒たちに廊下は走るなと
口酸っぱく指導しているものだから
他の教諭の手前、走ることも出来なかった。


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