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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第16章 特別クロッキー会ZERO
おじさんと最後に会ってから2週間が過ぎようとしていた。

自宅には田村さんが来る機会が増えた。きっと父と特別クロッキー会の打合せをしているのだと思う。

田村さんのセクハラは日を追うごとに増えて、あの人が家に居る間は気が休まることがなかった。

10月の第4日曜日、そう特別クロッキー会を3日後に控えた日、田村さんがまた家に訪れた。

呼び鈴が鳴り、あいにく家族が不在なので私が玄関で対応する。

「こんにちは梨果ちゃん、お父さんはご在宅?」

「…こんにちは、すみません父は今外出中です。」

「そうなのか、戻りはいつ頃になるかわかるかな?」

「母と出かけたので買い物かと思いますが、いつになるかまでは…。」

「お母さんも居ないのか…。」

しまったと思った。私が今この家に1人なのを教えてしまった。

「ちょっと待たせてもらってもいいかな。ちょうど梨果ちゃんにも話があるんだ。」

家に上げるのは正直嫌だったけど私に話があると言うのでリビングに通した。
嫌な予感しかしなかった。

お湯を沸かしてお茶を出した。

「ありがとう梨果ちゃん。」

(すごく落ち着かない、お父さんたち早く帰って来ないかな…。)

「梨果ちゃん、とうとう明明後日だね。」

「…はい。」

「楽しみだ。また梨果ちゃんのヌードが描ける。ふふふ…。」

背中がぞくっとした。

「で、梨果ちゃん、確認しておきたいことがあるのだが…。」

「は、はい。」

田村さんは声を潜めて言った。

「“あの男”とはどんな関係なんだい?」

“あの男”というのがおじさんであることは明確だった。とりあえず誤魔化してみる。

「なんのことでしょうか。」

「見たんだよ、夜近所を2人で歩いている所を。」

(…!)

見られていた。どの程度見られていたかによって対応を変えなければ。どう答えよう…。

「ああ、たまたま道で会ったのでお話していただけです。」

「ほう…。あんなことをしててかい?」

あんなことってどのことだろう…。
もし全て見られていたらおじさんの立場が危ない…。
でもたまたま一緒に歩いているのを見ていただけで“カマ”を賭けられている可能性もある。

これは駆け引きだ…。
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