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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第25章 トラブルメーカー美月
誰かがきた。凄い勢いだ、間違いなく美月の母親だろう。

「はい。」

玄関の扉を開ける。

「ウチの娘を返しなさい!美月ー!出てきなさい!」

「やだ!お母さんを絶対許さない!」

「失礼します!」

私を押しのけて美月の母親は上がり込み、美月の声がした居間に入る。

「美月!帰るわよ!来なさい!」

「やだ!ここにいる!」

すばしっこく居間を出て廊下を走って行った。追いかける母親。

「お母様!落ち着いて!」

「梨果ちゃんは口を挟まないで!」

美月は廊下の奥のトイレに鍵をかけて籠もってしまった。

(やっとトイレの場所覚えたのね。)

「美月!開けなさい!」

「やだ!梨果とおじちゃんに謝って!じゃないとお母さんを絶対許さない!今の私がいるのも梨果のおかげ!梨果と一緒にいられるのはおじちゃんのおかげ!事件のことだって梨果が悪いわけじゃない!えぇーん、えーん…。」

トイレの中で泣き出してしまった。

「…わかった、わかったから出てきて。」

「梨果とおじちゃんに謝って。」

「梨果ちゃんと梨果ちゃんの叔父様、先日は失礼しました。あの事件もお二方が悪くないのは解ってはいるのですが…。」

「お母様の気持ちはわかります。セクシャルな事件でしたし、私たちも事件の当事者なのは間違いないので…。ただ父は私との接触を禁じられていますし、この家に来ることはないので問題になることはないと思います。」

「…ええ、梨果ちゃん、わかったわ。」

「ここだけの話、私の妻は警察の関係者なのです。その意味でも梨果をここで保護をしているわけです。」

「そういうことでしたか、警察のご関係とは…。」

「美月さん、出ておいで。お母様は約束を果たしたよ。」

「……。」

返事がない。

「美月?…どうしたの?」

梨果が呼んでも反応がない。

「スー、スー、スー…。」

「これ、寝てない?」

「え?」

「寝ましたね。ウチの娘、泣くとすぐ寝てしまうのです。しかもいくら起こしても起きない…。」

「えっ!赤ちゃんみたい。」

「なんか私おトイレしたくなってきちゃった…。」

「えっ!梨果?!こんな時に?」

「わたくし、このあと約束があるのでこれで失礼します。また改めて参ります。」

「え?え?美月さんは?」

「申し訳ありませんが今日はよろしくお願いします。」
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