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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第28章 処女喪失
昨晩は梨果とベッドを共にせず、各々の部屋で睡眠をとり朝を迎えた。

梨果は洗濯をし、私は朝食をつくる。いつもと変わらぬ朝だが口数は少なかった。
朝食時も梨果と私はあまり会話をせず、友也がほぼひとりで部活の話をしていた。

“今日の夕方私は梨果の処女を奪う…”

その一点で昨夜から頭が一杯だった。
おそらく梨果もその事を考えているに違いないだろう。


梨果と友也を学校へ送り出すと私は仕事を収めに都内へ行った。列車内で見かけるカップルは違和感のない男女ばかりだった。
梨果は昨夏のあの出来事でとんでもない未来に舵を切ってしまったものだと改めて思った。

梨果の美幸への思いも意外だった。思えば梨果が美容院で髪をボブに戻さず、伸ばす方向にしたのも美幸の影響だろうか。
私がそれほど美幸に対して感情を寄せているとは梨果に指摘されるまで気が付かなかった。確かに骨折をしていた時期の毎日の美幸の献身的な介護と二人だけで過ごした時間に心をときめかせたのは事実だった。

梨果は周りをよく観察している。まだ14歳の少女に何もかも見透かされているようだった。

しかし私は梨果が“世界一”だ。

その世界一というのには梨果の言うとおり“カラダ“の美しさも含まれる。が、梨果にも見透かされない”恋心“があるのは事実なのだ。


地元の駅に到着し駅前の中華料理店に入った。
店内にはなんと梨果の父親である絵画講師がカウンターでビールを飲んでいた。

「先生こんにちは。ご一緒させてもらっていいですか?」

「あっ…こ、これはこれは。む娘が大変にお世話になっております。」

昼からだいぶ酔っているようだ。フラフラと立ち上がって頭を下げようとしたので制止した。

「やめてください。まま、座ってください。」

講師のグラスにビールを注ぐ。

「すみません。」

店員に声をかける。

「はーい。お決まりですか?」

「瓶ビールを二本ください。それと…。」

「タンメン…。」

講師がボソッと呟く。

「えっ?」

「タンメンです。ぜひ。」

「…ではタンメンと餃子もください。」

そう店員に告げると講師が満足そうに頷く。

先に届いたビールを煽る。

「ぷはぁ、旨い。…すみません、このところすっかり教室に行くのをサボってしまっていて…。」

「いえ、いらしてないのに月謝を払っていだいて…むしろすみません。」
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