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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第53章 父が描いた私のヌード
京都から帰った次の日、父から携帯電話に連絡が入った。

『梨果、絵が仕上がったから見に来ないかい?』

「本当?見たい、行く行く!」

私のヌードの絵が完成したみたい。途中経過を見たけどかなり写実的に描かれていて完成が楽しみだった。

「おじさん。お父さんが私の絵を仕上げたみたいだからちょっと見に行ってくる。」

台所で朝食で使った食器を洗っているおじさんに話す。

「ええっ…今から?」

「うん。仕上がっただけに今日はヌードにはならないと思うから…。」

「あ、あぁわかった…。」

昨夜生理がきてしまったからそもそもヌードにはなれないんだけどね。
そして最近避妊をしてなかったから生理がくるとちょっとホッとする。

「じゃあ行ってきます。」


自宅前の通りに差し掛かると、大きなワゴン車が田村さんの家の前から走り去って行った。

(デイサービス……)

荷台に乗せられた車椅子の人は田村さんだったのだろうか。

「ま、いっか…。」

実家に着いたけどインターホンが壊れているので直接ドアを開ける。

「お父さん、来たよー。」

家の中へ声をかけるとリビングから父が出てきた。

「やあ梨果いらっしゃい。コーヒー飲む?」

「うん。」

「ミルクたっぷりだよね。」

「そーそー。」

三階のアトリエへ行くと私のヌードが描かれているであろう大きなキャンバスに布が掛けられていた。

(お父さんってばもったいぶって。)

私は敢えて覗かずに父を待った。

「おまたせ。」

コーヒーカップを2つ持った父がアトリエへやってきた。

「お父さんもったいぶって布なんか掛けちゃって、早く見せてよー。」

「え?あぁ…まあ丹精込めて描いたんだから少しはもったいぶってもいいだろう?」

私にコーヒーを渡してくれた。

コーヒーを一口二口飲んだ。父もコーヒーを口にしながら無言で心なしか緊張しているようだった。

「お父さん。」

「ん?」

「まだ?」

「あ、…ああ。」

父はコーヒーカップを置いて立ち上がるとイーゼルに立てられた80号はあろう大きなキャンバスに掛かる布に手をかけた。

「…じゃあいくよ?」

「う、…うん。」
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