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だから先生は頼りない
第1章 指先

 箸で制止され、ムッと唇を突き出してからドーナツにかぶりつく。
 オールドファッション系で香ばしく甘い。
「あの倉庫様様」
「ささくれって何?」
「ああ、つまずいて手ついたんだけど、あそこ木棚なんだよ。すげー刺さりやすいの。テニス部の部室もあんくらいボロい棚なかったっけ?」
「ナチュラルにディスんなよ。事実だけどよ。んじゃ何? 針谷に木の針抜いてもらったって? さすが針じゃん」
「笑えねえ」
「んはは、幸せそーによ」
 エビフライを尾ごと噛みながら、蜂須賀が愉快そうに笑う。
 この笑い声は不快じゃない。
 食べながらの会話も妙に品があるのは、生まれの所以もあるだろう。
 両親が弁護士だったか。
 一度だけ挨拶に行ったことがあるが、政界の人というのはああもオーラが違うものかと恐ろしくなったのを覚えている。
「告白しねーの」
「しないよ。迷惑じゃん。ただでさえ生徒なのに、同性とか」
「今の時代に男女もクソもねーだろ」
「あるの。はっちゃんには難しいでしゅかなあ」
「うわ、うぜー」
 陽光に包まれた渡り廊下で、誰に聞かれる心配もなく楽しく昼飯を味わえるのは恵まれたことだと思う。
 クラスでもリーダー的存在の蜂須賀にクラス替えで真っ先に声をかけられたのは幸運だった。
 隣の席というのも、教室の後ろの窓際というのも功を奏したんだろう。
 教壇からは遠いけど。
「罪だよなー。新城ならモテそうなのに」
「それが十七年未経験なもので」
「知ってる」
「知ってて言ってる」
 皮肉でも自虐でもない。
 彼女はできず、寄ってくる女子も触りたいほど興味が出なかった。
「でもま、思ったより気持ちいーもんじゃねえけどな、セックス?」
「お前が言うとリアルだわ」
「何なら経験豊かなアニキに掘られてみたくねえ?」
「非童貞が」
「興味は津々よ、オレ?」
 中学で既に女子を食った蜂須賀に馬鹿にされてもそう傷つかない。
 ホモだ何だと罵られる覚悟で針谷のことを話したら、予想外に感動され応援すると言われたあの時は素直に嬉しかった。
 弁当を食べ終えた右手で俺の股間に伸ばしてきた手を払いのける。
「俺が無理」
「うわ、ショックだわー。オレ全然新城抱けるのに」
「守らせろよ、後ろくらい」
「針谷羨ましいな、おい」
 軽く冗談にしてくれるのもかなりありがたい。
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