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愛とは違う
第3章 壊させて

 ゴンと泊まる約束をしていたわけじゃない。
 けど、自然とそうなると思っていた。
 キルアは日が沈んだ街を窓から眺める。
 多分、一緒にいる。
 そんな感覚で。
 毎日の約束なんかいらなかった。
 ゴンはそばにいる。
 それは崩れようのない安心と、いつか自分が崩してしまうんじゃないかと言う不安の狭間。
「お兄ちゃん?」
「……アルカ」
 ドアからおずおずと入ってくる。
 夕飯がまだだった。
「わり。腹減ってるだろ」
「ううん。お兄ちゃん元気ないのかなって」
 キラキラと澄んだ眼で。
 優しいな、アルカは。
 窓に背中をもたれて、手を広げる。
「ん。アルカがぎゅってしてくれたら元気出ると思う」
「ふふ」
 すぐに飛び込んでくる。
 その小さな体を抱き締めて、背中に添えられた手の温もりを感じる。
 柔らかくて、甘い香り。
 本当にこの家系に生まれたのか不思議なほど、アルカには温かみがある。
 もちろんそれは脆いのだけれど。
 自分が守っている限りは、アルカは無垢な少女でいられるんだ。
「寂しいの?」
「……え」
「ナニカもね、寂しいときこんな風に抱き締めて欲しくなるんだって。だから、あの部屋でナニカの代わりにぬいぐるみを抱き締めてあげてたの」
「アルカ」
 息が詰まる。
 そんな幼いのに、あまりに酷い孤独を強いられていたのだから。
「今はお兄ちゃんの方がぬいぐるみ必要だね」
「アルカがいてくれたらいい」
「ふふ」
 本当は、違うけど。
 納得させようとする。
 オレはアルカを守るんだから。
 ゴンはもう、ゴンの道を行くのだから。
 そこで、ある影が過る。
ーボクたち、よく似てるよ♥ー
 あいつが……あいつは、これからもゴンの前に現れんのかな。
 バチリとうなじに電気が走る。
 目を見開いたまま、アルカを強く抱く。
「おにい、ちゃん?」
 顔を見せない兄に、アルカは心配そうに唇を曲げた。
「なんでもない」
 数秒後に見せた笑顔はいつもと変わらないけれど、やはりどこかナニカを思い起こさせた。
 
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