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愛とは違う
第4章 小休止とイこう
酒場から出て夜風にあたる。
ヒソカとともに過ごして三日になる。
昼はのんびり話してくれる時とどこかに行っちゃう時がある。
そういう時は、ひとりで山に飛んでいって修行。
キルアたちがこの街に居るのは感じるから、移動の気配がしたらその時は……
その時は、お別れかな。
「どうしたいんだろ」
「ナニが?」
つい口に出てしまってバッと両手で押える。
「なんでもない」
ヒソカはきっと気にしない。
どうせ気にしない。
簡単にああそっかバイバイって、手を振る。
そうに決まってる。
ホテルに抜ける路地を歩きながら、ふとドッヂボールのことを思い出した。
キルアと三人で共闘したこと。
レイザーの球の威力。
「ねえ。ヒソカ。もし今レイザーともう一度勝負するってなったら戦略変える?」
「もしも、ねえ♣️」
ヒソカは歩く速度を落として、顎に手をかける。
「あの時とはキミもボクも実力が桁違いに変わったと思うよ♦️ 速度、投球力、洞察力、察知力、回避力……その辺でカバーすれば苦戦はしないだろうね」
「俺に任せられる?」
カツン、とヒールが止まる。
夜風に髪をなびかせながら振り返る。
「主役はいつでもゴンだろ?」
その言葉は突き放すようで、認めるようで、冷たい響きを優しい声色で包んでるみたいだった。
拳を握り、歯をぐっと噛む。
「俺と戦う時はそんなこと忘れるくせに」
「あっは❤ 忖度して勝っても意味ないだろ」
「ソンタック?」
「ボクがわざと負けたら嫌だろ?」
「嫌だ。絶対」
なんでレイザーの話したんだっけ。
あの頃とは違うことを確かめたかったのかな。
あの時の連動感を思い出したかったのかな。
「部屋に上がるよ♠」
指だけでクイクイと手招きされて、思考を止めてついて行く。
あと何日。
あと何時間。
あとどのくらい喋ってくれる。
もしこれでバイバイして、次が闘技場だったら?
もし俺が十分に熟れたと判断されたら?
殺す気で来るのかな。
俺も殺す気で向かうのかな。
キルアとは違う。
友情じゃない。
ライバルってだけでもない。
心の奥底がウズウズするような期待と緊張。
もしかしたら今この瞬間が、二度と手に入らない時間の気がする。
「ゴン、シャワー浴びておいでよ♦️」
「あっ。うん」
それになんていうか、何かの予感があるんだ。