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愛とは違う
第2章 素直に言えば?
酷く深い穴のずっとずっと奥深く。
息が出来ないくらい地の底。
なのになんだか気持ちがよくて。
夢の更に先に閉じ込められたみたいな。
うん。
そんな感じだったんだ。
ネフェルピトーと戦った後は。
キルアの声はなんとなく覚えてる。
世界が小さくなって、体中が焼けついて。
あ、そうか。
俺はこうして燃え尽きちゃうんだ。
灰になっちゃう。
そんな風に思った。
死ぬ、なのかな。
その向こうにあったのは。
わからないけど。
とにかく、その穴の中で考えてたのは――
「ボクとの約束破っちゃう?」
「……そう」
選挙が終わって、キルアと別れたあとに偶然出会ったヒソカとお昼を食べに来ていた。
山盛りポテトを頬張る俺をヒソカが笑う。
「くく。キミって本当に面白い♦」
「ほうかな。らってヒソカ」
「飲み込んでからで良いよ♣」
むぐむぐと飲み下す。
今日のヒソカは真っ白な格好だった。
相変わらず太い腕は全部出してるけど。
「だってヒソカ、どこにいるかもわかんなかったし。俺がどこにいるかもわかんなかったでしょ? そのまま俺死んじゃったら約束破っちゃうみたいでやだなって。なんか久しぶりだよね。こうして会うのって。ていうかなんも食べないの?」
「食べてるキミ見てるだけでいいよ♥」
「変なの。それでなんでそんな凄い体なの? 羨ましいー」
「まあ食べないからこの体なんじゃない?」
ちらりと山盛りポテトを見下ろされて食欲が一気になくなった。
溜め息を吐いてコーラを飲み干す。
「ボクはね、キミが眠っている間イライラしてたよ♠」
「え?」
急に責められてどきりとする。
ヒソカはにやついたまま続けた。
「だってボクと約束したのに知らない奴と闘って死にそうになったわけでしょ? 万全に戻るかもわからない。ああ……思ったよ♠ 全力でヤろうって言葉忘れたの?って♦」
「ちがっ」
「うん♥ 今の話でそれはわかったよ♣」
そこでちょっと目を細めて嬉しそうに手を組む。
長い指を絡ませて。
「その……俺はカイトが死んだと思って、そしたらぶわって視界が黒くなって、なんか熱くなってなんも考えられなくなったんだけどね、その熱がさーって引いたときに真っ先にキルアの声が聞こえて。おい、ゴン! もうやめろっ!って。それからヒソカがね」