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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第1章 かくも愛しき田園の一日
「ドクターアーレンベルグ!教えてください!…大学ともなれば、個室ですよね?そうですよね?」
「…大切なアルフレッド坊っちゃまの貞操の危機を心配しているのかね?」
リヒャルトは仏頂面のまま尋ねる。
「有体に言えばそうです。…パブリックスクールだけでなく、ケンブリッジにも貴方のように退廃と堕落の思想の持ち主は多そうですからね。
ドクターアーレンベルグ!どうですか?個室?大部屋?」
リヒャルトは虫刺されの軟膏のボトルを、無造作にオスカーに手渡す。
「…大部屋だよ」
「…え?」
「…ケンブリッジの大学寮は大部屋」
オスカーの美しい顔が悲壮感に歪む。
「…な、なんと!」
艶やかな黒髪を掻きむしりながら、天を仰ぐ彼を尻目に、じゃあね、と背中を向ける。

…ふと、リヒャルトはにやりと笑いながらオスカーを振り向く。
「…あ、思い出した」
「なんですか⁈」
「…個室に入れる方法」
窓辺に齧り付くオスカー。
「なんですか⁈寄付金ですか⁉︎」
「…ラテン語で優秀な成績を修めることだよ」
「…ラ、ラテン語…」
オスカーの美貌が蒼白になる。
「そうそう。しかもうんと難しい試験があってね。
…う〜ん、アルフレッド坊っちゃまには荷が重いかなあ〜」
リヒャルトは大袈裟に溜息を吐く。
オスカーは憤然と眼鏡を押し上げ、きりっとした表情で宣言する。
「いえ!まだ受験までには4年もあります!
大丈夫。今日早速、優秀なラテン語教師を手配いたしますから。
ドクターアーレンベルグ。ご教授、ありがとうございました」
折り目正しく、一礼をするとオスカースペンサーは診療所の前庭から足早に立ち去った。

リヒャルトは窓辺にもたれかかりなかがら、ソールズベリー伯爵家の美貌の執事を見送る。
「…全く、坊っちゃまのこととなると、こんな嘘にも簡単に引っかかるんだからな…」
リヒャルトはくすりと笑うと、澄み渡る春の空に向かい大きく伸びをした。
…イギリスの片田舎、ウィルトシャーの春は始まったばかりだ。
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