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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
車寄せから、フレデリックとレディギネヴィアを乗せた車が静かに遠ざかる。
三人は並んで見送った。
「…全く…せっかく仲良しになれたと喜んでいたら…なんだかまたフレデリックが憎たらしく思えてきたよ!
なんだよ!なんでオスカーにキスするんだよ!」
車が視野から消えると、アルフレッドが憤然と怒り出した。
リヒャルトも腹立たしげに同意する。
「全くです!大体オスカー、君もおかしい!なぜ抵抗しないのだ⁈あんなにパブリックスクールの悪しき習慣を嫌悪している癖に!」
オスカーは涼しい顔で答える。
「…ああ、あれはアルフレッド様が入られるのは反対という意味です。アルフレッド様は真っさらで純粋培養で何もご存知ないお方ですからね」
「…へ⁈」
アルフレッドとリヒャルトが同時に叫ぶ。
オスカーは、2人に和かに…しかしどこかひんやりと婀娜めいた笑みを浮かべる。
「…美しい方に好かれるのは悪い気はしません。
…私も人の子ですからね」

そう言い放つと静かに踵を返し、玄関の石畳みへと歩みだす。
「ちょっ…!オスカー!どういう意味さ!」
「そうだ、待ちたまえ!聞き捨てならないぞ、オスカー!」

…2人の狂乱ぶりをよそに、オスカーは眼鏡越しにちらりと艶めいた碧の瞳で振り返り、小さく笑うとそのまま優雅な足取りで玄関へと入っていったのだった。
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