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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
ぴかぴかに磨き上げられたメルセデスが車寄せに止まる。
フレデリックのルイ・ヴィトンの旅行用鞄は荷台に山と積まれていた。
フレデリックはこの後ロンドンに行き、母親と合流しサウサンプトン港に向かうのだという。
レディ・ギネヴィアも港まで見送りに行くそうだ。

「…じゃあ、元気で。来年には遊びに来いよ」
敢えて素っ気なく挨拶するフレデリックにアルフレッドは抱きつく。
「お、おい…」
「…寂しいよ…フレデリック…せっかく仲良くなれたのに…」
ぐずぐずと鼻を鳴らすアルフレッドにわざとぞんざいにハンカチを押しつける。
「僕の上等な上着に洟をつけるなよな。…ったく」
と、憎まれ口を聞きながらも
「…僕もちょっと寂しい。もう君のぎゃんぎゃん喚く声を聞けないのかと思うとね…」
淋しげに笑った。
「楽しかったよ、ありがとう」
今度は自分から優しくアルフレッドを抱き締めた。

次に隣に立つリヒャルトを見上げ、にやりと笑う。
リヒャルトは念のために今朝、フレデリックの診察をしたのだ。
「ドクターにも世話になったね。ありがとう」
手を差し出す。
「どういたしまして。…貴方には自由の国、アメリカが合うかもしれませんね。ユニークなお坊ちゃま」
柔かに笑って握手をしたリヒャルトに、にこにこ笑いかけながら言い放つ。
「ドクターもね。医療過誤で村にいられなくなったらアメリカにおいでよ。僕の主治医に雇ってあげるからさ」
「…それはどうも!」
強張る口元に笑みを浮かべるが、その眼は全く笑っていない。
後ろに控えるオスカーがくすくす笑う。
フレデリックがオスカーの前に進み出る。
打って変って真摯な表情だ。
「…ロンドンで彼に会ってからアメリカに行くことにしたよ。…別に恨んでないから気にするな…てね」
オスカーは我がことのように喜ぶ。
「…ご立派です。フレデリック様」
フレデリックは嬉しそうに笑った。
少し背伸びをするとアルフレッドの腕を引き寄せ、その唇に軽くキスをした。

「あ〜〜ッ‼︎何しているんだよッ!」
アルフレッドとリヒャルトが同時に叫ぶ。
フレデリックがオスカーに抱きつき、尋ねる。
「僕が立派な紳士になったらまたキスをしてもいい?」
「良いわけないだろ!」
二人が叫ぶ。
オスカーは仄かに笑った。
「…私をお忘れでなければ…」
「え〜〜ッ⁉︎オスカー⁈」
フレデリックはガッツポーズをした。
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