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第8章 赤い泪

この家に生まれた事はさだめだと思っている。
日本財界のトップに君臨するコンツェルンの次女に生まれた。

明治の初め、ひいおじい様が小さな足袋屋から始めたこの稼業は
様々な戦争のたびに大きくなって
第二次世界大戦の頃には日本有数の大企業に数えられるほどになったらしい。
大戦を乗り越え、バブルを過ごし、昭和を経て、平成の現在、
我がコンツェルンは押しも押されぬ財界のトップになった。

お兄様とお姉様はすでに結婚していて
お兄様は旧華族の姫様と結婚して我が家を皇族と血縁づけた。
お姉さまは現在大蔵省のエリート官僚で2代前の総理の息子だ。
来年の選挙で出馬を予定している。
お兄様とお姉さまの結婚で皇族・権力とさらなる結びつきを成功させたお父様とお母様は、私の婚家を最後の切り札のように最高のお家柄を探していた。