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ーFeardー
第8章 赤い泪
もう見たくない。
あれが現実であろうと、夢であろうと
もう見たくない。

毎晩毎晩、起きると涙を流し過ぎた私の目の周りはヒリヒリしていた。

私は私の眼球に惑わされ
睡眠もままならぬまま
思考回路はストップした。

涙はいくら流しても枯れる事がなかった。

もう見たくない。もう見たくない。
何度も何度もそう叫ぶ。

―――見なければいいんだ。

あ、ぁ。
簡単なことだった。

見なければいいんだ。

ゆっくりと先端が鋭利なナイフを瞼にあてた。

そのまま、グサリとまぶたの中まで刃を突き差し
中の眼球をグリグリとエグった。

そして、もう一方の眼球も―――

痛さは感じなかった。
もうこれで、イヤな原さんを見なくて済む。

その事だけを・・・・考えていた。

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