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姿なき声
第1章 ホテル・ワイキキで・・・
休憩時間、香澄と一緒になったので
弁当をひろげながら、さっきの不思議な出来事を話してみた。
「確かに後ろから声かけられたんだよなぁ。ものすごいはっきり聞こえてさ。
でも振り返っても誰もいない・・すぐ振り返ったんだよ、なのに、
どこ消えちゃったんだろう?」
頭をひねる晴樹をじっと見つめる香澄は、かすかに視線が泳いだ。
「なんか、あの廊下コパと違ってちょっと暗いじゃない?
まさか出たのか~?なーんてね!」
冗談言って笑わせたつもりでいた晴樹だが、
香澄の微妙な表情を見て、眉をひそめた。
「ちょっとぉ、笹木さん、そんなマジな顔しちゃうとさあ?冗談なんだよ?」
おどけた感じで箸を振ってみるが、香澄から向けられた笑顔には
ぎこちなさがこびりついてた。
・・なに?まさかここって、ほんとに出るのかよ?・・
晴樹はそれ以上その話には触れずに、弁当を食べることに集中した。