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蜜愛~男になった女~
第3章 【白桜記】 其の三・巡る想いは
「今のわしは狂うてもおらぬぞ。これは真の話だ。―そなたが好きだ、聡一郎」
信頼はおさとの方を確かに〝聡一郎〟と呼んだ。いつしか皮肉げな微笑も信頼の貌から消えていた。信頼の言うとおり、今の彼が正気を手放しているとは考えにくい。
信頼は聡一郎が女だと知ったから、抱いたわけではない。その前から、おさとの方が榎木聡一郎として仕えていた頃から想いを寄せていたというのだ。信頼が恋に落ちたのは、おさとの方ではなく聡一郎であった。