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第3章 【白桜記】　其の三・巡る想いは

　優しい笑顔に勇気づけられたように、典姫は、おさとの方を見上げて言った。
「お母様、私に学問を教えて頂けませぬか」
「さりながら、姫様は既に西条先生という手習いの先生がいらっしゃるのではございませぬか」
　おさとの方控えめに言った。西条粂之助(さいじょうくめのすけ)は
藩お抱えの儒学者である。藩主信頼の学問の師でもあった。典姫は既に今年の正月から粂之助について学問を始めている。