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蜜愛~男になった女~
第3章 【白桜記】 其の三・巡る想いは
おさとの方は典姫の心遣いに眼頭が熱くなった。わずか五歳の子どもがおさとの方の身を心配しているのだ。昨日の今日だけに、信頼がまた何かせぬかと案じているのだろう。
「ああ、武士に二言はない。約束する。そなたの大事な母を取って喰うたりはせぬぞ」
信頼は幼き姫を安堵させるかのように悪戯っぽく笑った。それでもなお不安げな典姫におさとの方が微笑んで頷いて見せると、漸く典姫は安心した顔でお美代に付き添われて庭に降りていった。