この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜜愛~男になった女~
第4章 第二部【こぼれ桜】 其の一 始まりの桜

一
やわらかな春の風がそっと頬を撫でて通り過ぎてゆく。おさとの方が手のひらを差しのべると、小さな花片がそっと舞い降りた。
庭の桜は今が盛りである。限りなく純白に近い花の色が一斉に風に舞い上がる様は冬に降る雪にも似ている。「高嶺桜(たかねざくら)」と呼ばれるこの桜の大樹はもう何代も前からここにあったという。かつての藩主の側妾であった娘が藩主の訪れを待ちながら、いつもこの桜を眺めていたという哀しい逸話があると聞いている。
やわらかな春の風がそっと頬を撫でて通り過ぎてゆく。おさとの方が手のひらを差しのべると、小さな花片がそっと舞い降りた。
庭の桜は今が盛りである。限りなく純白に近い花の色が一斉に風に舞い上がる様は冬に降る雪にも似ている。「高嶺桜(たかねざくら)」と呼ばれるこの桜の大樹はもう何代も前からここにあったという。かつての藩主の側妾であった娘が藩主の訪れを待ちながら、いつもこの桜を眺めていたという哀しい逸話があると聞いている。

