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第5章 第二部【こぼれ桜】　其の二　水面下の計略

「何だ」
　信頼は憮然とした声で応えた。いかにも愛妾との愉しみの最中にふいに現れた闖入者に腹立ちを隠せないといった口ぶりだ。
　対する相手は極めて慇懃に言上する。
「江戸表より火急の使者が参っておりまする」
「なに、江戸よりの使者とな」
　信頼は依然として不機嫌な声のまま応えた。おさとの方の乳房をまさぐる手が漸く止まった。