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蜜愛~男になった女~
第5章 第二部【こぼれ桜】 其の二 水面下の計略
「申し訳もござりませぬ」
 ほどなく、足音が遠ざかっていった。人の気配は完全に消えた。
「殿、よろしかったのでこざいますか」
 おさとの方は人の気配が消えたのを見届けた後、信頼を見上げて小さな声で言った。
「ああ、頼母の奴め、さぞ腑(はらわた)を煮えくり返らせていることであろうて」
 そう、先刻の声の主こそ望月頼母であった。
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