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蜜愛~男になった女~
第6章 第二部【こぼれ桜】 其の三 散る桜、咲く桜
信頼が背にして座る床の間には一輪の桜が墨絵で描かれていた。その前の備前の花器には数本の山吹が投げ入れられている。
と、突如として下方の襖が開いた。
「お待たせ致しましたな、殿。ちと支度に手間取っておりまして、ご無礼仕りました。さ、こちらへ」
頼母が手を叩くと、きらびやかに着飾った女たちが両手に膳を捧げ持って次々に現れた。女たちは頼母の屋敷に仕える侍女たちらしく、いずれも若い見目良き娘揃いであった。