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蜜愛~男になった女~
第6章 第二部【こぼれ桜】 其の三 散る桜、咲く桜
最初に打ちかかってきた浪人は、執拗に信頼を狙ってきた。刃を付き合わせてよくよく見れば、白髪混じりの、信頼の父ほどの年輩の男だ。五歳で父を喪った信頼にとって、父の記憶は朧にしかない。
「そなた、生命を粗末にするな」
幾ら刀を跳ね上げても、懲りもせずにまた向かってくる。信頼にとってこの男を斬るのは容易いことではあったが、無用の殺戮は避けたい。頼母や勘定吟味役はともかく、この男たちはわずかな金で働かされているにすぎないのだ。
「そなた、生命を粗末にするな」
幾ら刀を跳ね上げても、懲りもせずにまた向かってくる。信頼にとってこの男を斬るのは容易いことではあったが、無用の殺戮は避けたい。頼母や勘定吟味役はともかく、この男たちはわずかな金で働かされているにすぎないのだ。