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蜜愛~男になった女~
第7章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】
その半月後のある日のことである。長儀子は一人、廊下を歩いていた。信頼と正式に華燭の典を挙げてから十日余りが経っている。毎日、信頼のお渡りもなく、格別にすることもない身であった。一日中自室でボウとしているのにも飽きてきたのだ。
元々、部屋の中でじっとしているのは苦手で、父道房からは〝公卿の姫らしう大人しくせよ〟と度々、諭されてきた。今日もとうとう部屋に閉じ込められているのに耐えられなくて、琴路の眼を盗んでそっと抜け出してきたのである。
元々、部屋の中でじっとしているのは苦手で、父道房からは〝公卿の姫らしう大人しくせよ〟と度々、諭されてきた。今日もとうとう部屋に閉じ込められているのに耐えられなくて、琴路の眼を盗んでそっと抜け出してきたのである。