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蜜愛~男になった女~
第7章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】
あろうことか、婚儀を挙げたその夜、信頼はついに長儀子の前には現れなかった。次の夜もまた、その次の夜も―。琴路が仕入れてきた情報によれば、信頼は気に入りの愛妾と夜毎〝お愉しみ〟の最中らしい。
そんな話を耳にすれば、もちろん長儀子だとて愉快ではない。しかし、元々、大名家の婚姻とは、そのようなものだと、どこかで割り切っているというか、諦めてもいる長儀子であった。所詮、正室は飾り物で、お家の体裁を整えるための道具にすぎない。男は気に入った女がいれば、幾人でも側に置けるのだ。
そんな話を耳にすれば、もちろん長儀子だとて愉快ではない。しかし、元々、大名家の婚姻とは、そのようなものだと、どこかで割り切っているというか、諦めてもいる長儀子であった。所詮、正室は飾り物で、お家の体裁を整えるための道具にすぎない。男は気に入った女がいれば、幾人でも側に置けるのだ。