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第7章 番外編【櫻の系譜・壱～雪時雨（ゆきしぐれ）～】

　信純も最初は控えめで優しい気性のお千世を愛したが、次第に飽きて、別の側妾を寵愛するようになった。しかし、お千世は信純の愛が他(あだ)し女に移っても、いつまでも信純のお召しを待ち続けた。
　お千世の居室からは庭に植わった桜が見渡せる。非常に珍しい遅咲きの品種で、四月中旬から下旬にかけて白い花を咲かせる。形は八重桜に似て、色は限りなく純白に近く、うっすらと色づいているほどであった。