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蜜愛~男になった女~
第7章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】
「姫様―」
 気遣わしげに見る琴路に微笑みかけようとしたが、それは奇妙に歪んだ泣き笑いの顔になった。部屋の床の間に飾っている白磁の花器が涙に滲む。藍色で菊花唐草文様が描かれた花器には、真紅も鮮やかな椿が一輪活けられている。
「琴路、私もお千世様と同じみたい」
 そう言う長儀子の眼からは、とめどない涙の雫が流れ落ちた。
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