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蜜愛~男になった女~
第7章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】
 長儀子は今こそ知った。我が身の信頼への想いが紛れもない恋であることを。半月前、初めて信頼と逢ったその刹那から、長儀子は信頼に惹かれていた。あの凍れる月のように美しい顔(かんばせ)に冷たい笑みを刻んだ男にひとめで恋に落ちたのだ。
 長儀子は、冷えた眼差しを思い浮かべた。信頼の瞳は、あたかも底なしの暗闇のようだ。その闇はぽっかりと開いた、果てのない空洞へと続いている。そして、それは信頼自身の中に巣喰う深い闇に他ならない。
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