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蜜愛~男になった女~
第9章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】 参

そんなある日のこと、長儀子は浅い眠りの中をたゆたっていた。卯月も既に終わろうとしていた。北国のここ河北藩も漸く春たけなわを迎え、季節は既に初夏へとうつろおうとしている。河北城の庭園にも花々が咲き乱れ、殊に遅咲きの高嶺桜は今が満開であった。
長儀子は、ゆっくりと眼を見開いた。黄昏時の夕陽が障子を通して部屋に差し込んでいる。枕許に人の気配を感じ、ゆるりと視線を動かせば、その先には待ち焦がれた想い人の姿があった。
長儀子は、ゆっくりと眼を見開いた。黄昏時の夕陽が障子を通して部屋に差し込んでいる。枕許に人の気配を感じ、ゆるりと視線を動かせば、その先には待ち焦がれた想い人の姿があった。

