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蜜愛~男になった女~
第9章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】 参
「―殿」
 か細い声で呼ぶと、信頼が薄く笑った。いつものように人を見下したような笑いではない。少し照れたような表情であった。
「具合はどうだ」
 ぶっきらぼうな物言いは変わりはなかったけれど、長儀子はその中に信頼なりの労りを感じた。
―多分、この男(ひと)は己れの感情表現が苦手なのだ。
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