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蜜愛~男になった女~
第9章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】 参
不思議なことに、今になって長儀子は信頼という男の不器用さをやっと理解し得たように思う。信頼にけしてその想いを告げられぬ想う女がいることは確かではあったが―、今、信頼は彼なりに長儀子への情を示そうとしている。
長儀子はもう我が身の生命が長くはないことを知っている。この弱り切った身では子を宿し、この世に生み出すという女の大役を果たせそうにはない。そのことを、何より自分自身が気付いていた。