この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜜愛~男になった女~
第9章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】 参

幸運なことに長儀子はすぐに懐妊した。だが、本来ならば何より歓ぶべきはずの懐妊さえ、衰弱した長儀子の身体には負担が大きすぎた。
長儀子は心底、信頼に惚れている。たった今も、信頼が顔を見せただけで、蒼白かった頬に紅みがさし、その表情は見る者をも幸福な気分にするほど輝いていた。
信頼が初めて見せた良人らしい優しさであった。先刻の信頼の腕に抱かれたときの長儀子の幸せそうな表情を思い出し、琴路はそっと袂で涙を押さえた。
長儀子は心底、信頼に惚れている。たった今も、信頼が顔を見せただけで、蒼白かった頬に紅みがさし、その表情は見る者をも幸福な気分にするほど輝いていた。
信頼が初めて見せた良人らしい優しさであった。先刻の信頼の腕に抱かれたときの長儀子の幸せそうな表情を思い出し、琴路はそっと袂で涙を押さえた。

