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蜜愛~男になった女~
第10章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 壱―お千世

二、三年ほど勤めた後はお暇を頂き実家に帰り、嫁ぐのが通例であった。お千世もその例に洩れず、二年間ほど行儀見習いを兼ねて奉公に上がったのだ。
―そなたはいつまでもねんねで困ります。
母のとよはよくそう言って笑う。十六歳になって人の妻になる歳に達しても、いつまでも夢見がちで浮き世離れしている。そんなこともあって、とよは娘がうまく御殿奉公できるかどうか案じていたのだが、今のところ、大きな問題はなく、お千世は存外に新しい生活になじんでいた。
―そなたはいつまでもねんねで困ります。
母のとよはよくそう言って笑う。十六歳になって人の妻になる歳に達しても、いつまでも夢見がちで浮き世離れしている。そんなこともあって、とよは娘がうまく御殿奉公できるかどうか案じていたのだが、今のところ、大きな問題はなく、お千世は存外に新しい生活になじんでいた。

