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蜜愛~男になった女~
第10章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 壱―お千世

それから更に数日を経た。その間もお千世は夜の帳が降りる刻限になると、そっと局部屋を抜け出し奧庭へと忍んで行く。お陰で「桜の君」とは三日間続けて逢えた。この頃になると、お千世が夜な夜な部屋を抜け出しているのは、専らの噂になっていた。本人は上手く隠しおおせているつもりだが、とっくに露見していたのだ。
元々、他人に隠れて立ち回る芸当なぞできぬ質(たち)の娘なのだ。老女の更科にも直々に部屋に呼び出されたが、お千世は応えるすべがなかった。
元々、他人に隠れて立ち回る芸当なぞできぬ質(たち)の娘なのだ。老女の更科にも直々に部屋に呼び出されたが、お千世は応えるすべがなかった。

