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蜜愛~男になった女~
第10章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 壱―お千世
お千世は首だけをねじ曲げるようにして後ろを振り返った。そんなお千世の身体を背後から抱きしめ、信純は唇を重ねた。長い口づけの後、お千世はふと手を伸ばし、つくばいの水に映る信純の面影に触れようとした。しかし、水の中の信純の影は儚く揺れて、消えた。
どんなに欲しても、恋い焦がれても、永久(とこしえ)に届かぬ水の中の月。お千世の眼に大粒の涙が溢れた。
これが、お千世が藩主信純の寝所に正式に召された最初で最後となった。
どんなに欲しても、恋い焦がれても、永久(とこしえ)に届かぬ水の中の月。お千世の眼に大粒の涙が溢れた。
これが、お千世が藩主信純の寝所に正式に召された最初で最後となった。