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蜜愛~男になった女~
第11章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 弐―加恵
【其の弐―加恵】
この夜を境に、信純の寝所へのお召しはふっつりと絶えた。お千世は信純のお手付きの奧女中ということで、正式な侍妾としてお部屋を賜る栄誉を与えられた。
奇しくもその部屋は、お千世が初めて信純と出逢った奥庭に面しており、庭に面した障子をすべて開け放つと、片隅の桜がよく見えた。既に白い花を咲かせる桜は半分は散っていたが、それでもまだ咲き残った花が逝こうとする春の名残の美しさをとどめていた。
この夜を境に、信純の寝所へのお召しはふっつりと絶えた。お千世は信純のお手付きの奧女中ということで、正式な侍妾としてお部屋を賜る栄誉を与えられた。
奇しくもその部屋は、お千世が初めて信純と出逢った奥庭に面しており、庭に面した障子をすべて開け放つと、片隅の桜がよく見えた。既に白い花を咲かせる桜は半分は散っていたが、それでもまだ咲き残った花が逝こうとする春の名残の美しさをとどめていた。