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蜜愛~男になった女~
第11章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 弐―加恵
他の女たちは、お千世の上辺だけの立身を見て羨んでいるけれど、寵愛を失った側室の辿る道ほど無残なものはない。たとえ身を綺羅で飾り「お方様」とかしずかれる暮らしでも、男を待つだけの無為な日々である。それも、男に振り向かれることはなく、心は愛を求め乾き切って、ただ空しく齢(よわい)だけを重ねてゆかねばならない。
それを思えば、たとえ貧しき町家の女房でも、良人に愛され子を生み育て母となりてこそ、女の生きる甲斐も証もあるというものだった。
それを思えば、たとえ貧しき町家の女房でも、良人に愛され子を生み育て母となりてこそ、女の生きる甲斐も証もあるというものだった。