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蜜愛~男になった女~
第11章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 弐―加恵    
「殿、そこにおいでになるのでしょう? 殿?」
 歌うような調子でしきりに呼びかけるお千世を抱きしめたまま、加恵は声を殺して泣いた。
 外では春の嵐が荒れ狂い、部屋の障子が音を立てて震えた。この分では散り残った桜もあらかたは散ってしまうに相違ないと、加恵はお千世を腕に抱いたまま、ぼんやりと考えていた。
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