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蜜愛~男になった女~
第11章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 弐―加恵
その翌日から、お千世はこれまで以上に縁に座る時間が長くなった。加恵の予想したとおり、翌朝には庭の桜花は殆ど烈しい風雨に散ってしまった。花は既に無くなってしまったというのに、お千世は相も変わらず、縁に座り続け桜を眺めている。
恐らく、お千世の眼には瑞々しい緑の葉を見せ始めた桜ではなく、満開に咲き誇る白い桜花が映っているのだろう。お千世の刻(とき)は半月前、あの白い花が咲く樹の下で信純とめぐり逢ったときのまま、止まっているのだ。
恐らく、お千世の眼には瑞々しい緑の葉を見せ始めた桜ではなく、満開に咲き誇る白い桜花が映っているのだろう。お千世の刻(とき)は半月前、あの白い花が咲く樹の下で信純とめぐり逢ったときのまま、止まっているのだ。