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蜜愛~男になった女~
第11章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 弐―加恵    
「殿がおいでになったわ」
 部屋の隅に控えている加恵は何事かと訝しんだ。お千世は加恵に頓着する様子もなく、立ち上がると、庭へ降り、タタッと小走りに桜の樹まで駆けた。
「お方様?」
 加恵も慌ててその後を追う。
「殿、やっとおいでになって下さいましたのね」
 お千世は桜の樹の下でうっとりと呟いた。
その表情は夢見るように恍惚としている。
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