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蜜愛~男になった女~
第11章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 弐―加恵
二十一歳の信純には既に四男二女がいる。恐らくお千世の存在なぞ信純の頭にはないだろう。しかし、その過酷な現実をお千世に告げることは、いかにしてもためらわれる。
「とにかく今宵はごゆっくりとお寝みになり、明日の殿のお渡りをお待ちいたしましょう」
加恵はお千世に言い聞かせると、肩を抱いて、ゆっくりと庭を歩いた。縁まで戻ると、すすぎの水を用意し、盥(たらい)に汲んできた水に布を浸してお千世の脚を丁寧に拭う。
「とにかく今宵はごゆっくりとお寝みになり、明日の殿のお渡りをお待ちいたしましょう」
加恵はお千世に言い聞かせると、肩を抱いて、ゆっくりと庭を歩いた。縁まで戻ると、すすぎの水を用意し、盥(たらい)に汲んできた水に布を浸してお千世の脚を丁寧に拭う。