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蜜愛~男になった女~
第11章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 弐―加恵    
 お千世の脚には小さな傷があった。無理もない、裸足で庭を走ったのだ。お千世の足許にしゃがみ込んでいた加恵の耳に、お千世の声が聞こえてくる。
「殿は明日はきっと私のところへおいでになるわ。ねえ、加恵殿、あの桜の花が散らない中にきっとおいでになるわよね?」
 加恵は涙を抑えて、うつむいたまま明るい声音で応えた。
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