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第12章 番外編【櫻の系譜・参～花水木（はなみずき）～】　　

　当時、信頼もまた聡一郎より一つ下の五歳にすぎず、聡一郎は信頼の側小姓から始まり、今日の地位に至った。以来、今日まで九年間、聡一郎は信頼のためにひたすら忠勤を励んできた。聡一郎は筆頭家老榎木盛綱の嫡子であり、いずれは家老職につく身である。謹厳な父に似て生真面目な聡一郎を信頼は煙たがりながらも、口とは裏腹にいつも傍から離さない。聡一郎は周囲からも信頼のお気に入りの家臣だと認められていた。