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蜜愛~男になった女~
第12章 番外編【櫻の系譜・参~花水木(はなみずき)~】
信頼が心外だというような表情で聡一郎を見た。
「何故だ、花が欲しいのであれば、手に入れれば良い。ただそれだけのことではないか」
が、聡一郎は真面目な顔で首を振った。
「いいえ、殿。花は野に咲いておるのがいちばん美しうございます。また、花の生命もその方が長いのは必定、花にとっても樹に咲いておるのが幸せにございましょう」
聡一郎の言葉はもっともである。だが、信頼は憮然とした面持ちであった。