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第1章 第一部【白桜記】　其の一・山桜

　が、ある時、ついに腹立ちに耐えかねた信頼に永の蟄居謹慎を申し渡された。屋敷に引きこもった盛綱は失意のあまり、病に伏す身となった。盛綱の一子聡一郎盛信は信頼より一歳年長である。その名の表すとおり、主筋の佐伯氏の当主が代々名乗る名の片諱(かたいみな)を与えられている。そのことからも判るように、信頼とは兄弟も同然に育ち、物心ついたばかりの頃から常に信頼の小姓として、その身近に控えていた。